渋谷川と宇田川の跡(渋谷駅あたり)

そもそも人混みが好きではない。
が、渋谷のBunkamuraでやっているトレチャコフ美術館の展覧会は明日まで。
そして、玉川上水の跡を先週ぷらりと歩いたせいで、暗渠熱がほんのり復活。
というわけで、渋谷に出かけることに。

渋谷の駅で降りるのは久しぶりだった。
複雑な地下道から「宮益坂方面」と書かれた出口で地上に出る。
人混みに背を向けて、まずはJRの線路沿いに残る渋谷川の跡を。
線路のすぐ脇の道には飲み屋街が何軒か軒を連ねていて、地図で見るとその裏手の駐輪場がちょうど渋谷川の暗渠のはず。
ほんとにここでいいのかなあ… と思いつつ足を踏み入れる。少ししたらちゃんと「渋谷川遊歩道」と書かれた看板を発見。
よかった、合ってた。
ん? いや、遊歩道ていうか、駐輪場じゃないですか…
オートバイの間に路上生活者らしき人が潜んでいたりして、ギョッとしながら歩く。

渋谷川の跡だと思ってそのまま道なりに歩いていたら明治通りに出てしまったので、宮下公園をぐるりと回りこんで、タワレコの前を通って戻ってくる。どこかで左折するべきところを間違えたらしい。 
西武のある交差点で左手を見ると、山手線の下をくぐるトンネル。ここが渋谷川と宇田川の合流点。
トンネルをくぐればそこは最初に見かけた飲み屋街。紅白のちょうちんが、昼間で人気のない通りに明るい雰囲気を添えている。
ふと見ると通りの片隅に、「駐輪場」の看板が。本当はここに出る道があったのか。うっかりしたなあ…
気を取り直して、今度は宇田川跡を。
交差点で信号待ちをしながら西武のA館とB館の間を眺める。この下に今でも水が流れているのか… と感慨にふけるよりも、西武のなんだかショッキングなポスターのほうに目がいってしまった。
ちとせ会館前のY字路。
左手にのびる道が宇田川。
川と言われればそうかも、と思うような緩くうねる道。そうと知らなければふつうの道だけれど、ひいき目なのか、なにか妙に雰囲気を湛えた道ではあったように思う。
で、東急本店に曲がる角のあたりまで来ると、道に段差が。
川の跡と川べりの道の跡かな? などと妄想。
そのまま川をたどりそうになるけれど、今日のもうひとつの目的は美術館に行くことなので、宇田川跡の探索は今日はここまで。

そしてBunkamura。
予想どおりの混雑ぶりだった… 絵を見に行ったのではなく、人の頭を見に行ったようなものだ。
これだからこういう大きな会場でやる派手な展覧会は苦手なのだけれど、今回ばかりは仕方ない。
若い緑に彩られた早春の森、夏の薄水色の高い空、黄金色の麦畑、あぜ道を歩く農民、黄葉した樹々の間を流れる小川、樹氷の林。
ロシアの絵画、特に風景画は自分の胸に強く響く。そしてやはり、画集では本物の色合いも質感も、実際の絵の大きさも、どうやっても伝わらないものなのだ…

東京寫眞帖

東京風景。 昭和の名残、ときどき現代。

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