仲池上・富士見橋

あともう少しで日が暮れるという頃、思い立って東海道新幹線の線路上に架かる富士見橋に行ってみることにした。以前、自転車であちこち走っていた時、夕方にこの辺りを通りかかって、丹沢の山影が意外な大きさで目に飛び込んできたのを思い出したからだ。
日中はよく晴れていたけれど、暖かかったから富士山までは見えないかもしれない。それでも丹沢くらいは見えるだろう。山の見える景色が好きな自分には、丹沢だけでも見えれば十分だ。
この辺りは本当に坂が多くて、まったく坂を通らずにどこかに行くということはまずできない。それでも富士見橋までは長い尾根道を通ってかなり楽に行くことができる。
さて、どんな景色が待っているだろう。
たどりついた富士見橋からは、くっきりと美しい富士山と丹沢の影。
誘われるようにふらふらと線路沿いの相生坂を下り、跨線橋の上で何度もシャッターを切った。ふと振り返ると、富士見橋のたもとにもカメラを構えた人たちがいる。知っている人は知っているのだ。
写真を撮って富士見橋まで戻った自分は、立ち去り難い気分で、そのままなにをするでもなくただ暮れていく空と濃くなっていく山影を見ていた。

ところで、山から湧き上がるように立ち昇る雲が見えたけれども、これはなんだろう…
夕焼け空の色合いと相まって、なんだか怖いような気がした。

東京寫眞帖

東京風景。 昭和の名残、ときどき現代。

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